2019年11月12日火曜日

新しい革靴を履く前に

 新しい革靴を履く前にプレメンテナンスをしましょう。

 …と、革靴のことを書いたサイトを見ると、どこにでも書かれています。在庫時に乾燥しちゃってるから、デリケートクリームで水分を与えて、クリームで油分を与えて…云々…。これは「普通以上の趣味嗜好の領域」の話だと思っていました。

 しかし、そうではなくプレメンテナンスは必要です。

 自分の経験から言うと、美しい皺を作らなきゃ…というような趣味の領域ではないなら、多くの場合は不要ですが、時として悲惨なことになるので、保険としてプレメンテナンスは絶対にやっておいた方が良い…ということになります。

 実際、以前はプレメンテナンスなんてしないで、靴箱の中に転がっている使い古した父親の靴ブラシでササッと擦る程度で、新品の靴を下ろしていたものでした。そして、それで特に問題を感じたことはありませんでした。

 写真の靴はスコッチグレインのアシュランス。いい歳だしスーツを着たときに、ちゃんとした靴を履かなきゃな…と、伊勢丹の靴売り場で購入したもの。恥ずかしながら、ストレートチップの靴を意識して買ったのは、このときが初めてでした。アシュランスという品名を知ったのも買ってしばらく過ぎてから。確か3万円ぐらいだったのですが、高いとは思わなかったものの安いとも思えず、いろんな靴を試着して、いちばん履き心地が良いものを選んだ記憶があります。

 実はこのとき同じ型の靴を3足まとめて購入しました。スタンダードなストレートチップで革底のものと雨用にゴム底のもの、そして写真のパンチドキャップトゥ。仕事のときに履くので、所有している他の革靴と合わせてローテーションするのに3足は必要だろうと思ったからです。

 スタンダードなストレートチップ2足は何の問題もなく履き下ろせました。今思えば在庫時からの保存状態が若干良かったのかもしれません。しかしこのパンチドキャップトゥを履いたとき、嫌な感じで甲の革が折れました。折れ曲がったではなく、まさにバキッと折れた感じです。他の2足と比べて明らかに違う深い皺が入り、その皺の部分に腰(弾力)が無い…。革靴の皺の入り具合なんてものに全く無頓着だった当時の自分が見ても、これは明らかに良くないな…と感じるものでした。おそらくは将来的にここにひび割れが入ったりしてしまうのだろうということを確信させるもので、見た目もイマイチに見えました。なんかやってしまった…という失敗感を強く感じたことを覚えています。

 その後、新しい革靴を下ろす前には、必ずクリームを塗って履くときも気をつけて履くようになりました。たまたまかもしれませんが、それ以降のどの靴も比較的キメの細かい皺が入っていますし、革の弾力も失われていません。

 革というのは、そんなにヤワな物ではないので、多少の雑な扱いには応じてくれるのですが、運が悪いと時々、残念なことになってしまうのです。クリームを塗っておくだけで、それを防げるのなら、そうした方が良いに決まっています。

 やり方はいろんな人がいろいろ書いてますので、それを見ればよいでしょう。革に潤いを与えて柔軟性や弾力がある状態にすれば良いのです。おそらくどの方法でも問題無いと思います。自分が言えることは、とにかくプレメンテナンスをやっておいた方が、事故があったときに致命傷にならず救われるということです。

 これぐらいの靴なら、買ったときに店の人が軽くクリームをつけてブラッシングぐらいはしてくれることが多いはずなので、箱から出したときはイイ感じで艶があったりします。でも、革の内部がどうなっているかは分かりません。

 忘れないように。プレメンテナンスは必要です。

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